昨年の6月に地球へ帰還し、多くの人々を感動の渦に巻き込んだ
小惑星探査機「はやぶさ」ですが、映画化の企画が乱立した結果
なんとほぼすべてが企画成立し、上映に向けて準備が進められて
いるようです。今年の秋から来年にかけて3作ものはやぶさ映画
が上映される予定で、製作を手掛けた20世紀フォックス映画、
東映、松竹の大手3社がしのぎを削り合うことになります。
他社と競合してまで同じテーマの映画を作りたがるのか、
一般人にはなかなか理解できません。独り勝ちを阻止したい
という思惑もあるのではないかと考えられますが、
はやぶさの帰還以降、JAXAには大手の映画製作会社から
8件もの提案があったと言います。JAXAで映画の窓口となった
阪本成一教授は、この経緯について、「実話なので、話を変える
わけにはいかない。3社も残ると思わなかった」とコメント
しています。
今回のはやぶさ映画のような競作は過去にも例があります。
1951年に獅子文六の小説「自由学校」を松竹と大映が映画化
したときも封切りを同じ週に合わせました。最近では94年に
東宝と松竹が忠臣蔵を題材にした「四十七人の刺客」と
「忠臣蔵外伝 四谷怪談」で対決していますし、チリで
33人が救出された落盤事故の映画化もチリとハリウッドで
同時進行中です。しかし、国内で3作品が重なることは
コアな映画ファンの記憶にもないのではないでしょうか。
3作品のうち真っ先に公開されるのは20世紀フォックスの
「はやぶさ/HAYABUSA」で、10月1日を公開予定
としています。竹内結子が女性研究生役で主演、西田敏行が
上司で、派手な演出を加えず「完全なコピー」を目指します。
東映は「はやぶさ 遥(はる)かなる帰還」で、2012年公開
予定となります。こちらは渡辺謙が川口教授役で、東映が得意
とする男臭さが魅力の映画になりそうです。
クランクインが一番遅かった松竹の「おかえり、はやぶさ」
は12年3月公開予定で、3D映像で上映される予定です。
藤原竜也が新人エンジニア役で主演し、松竹のお家芸である
家族の絆を描く映画に仕上がる予定だそうです。